作者:ウィーダについて
偉大なる画家ルーベンスの眠る街アントワープ...
このフランダースの舞台となるアントワープという名の由来は巨人アンチゴンをたおし、その手をスヘルデ川に投げた伝説の英雄、シルヴィウス・ブラボーから来て
いるそうでアントワープ”手を投げる”という意味だそうです。
しかし調べて驚いてしまうのはこのアントワープ地方だけでも異常なくらいに美術館や歴史ある教会が多くありこの街がいかに芸術的な所だとひしひしと伝わってき
ます。ネロとパトラッシュが念願のルーベンスの絵を見るラストの情景もノートルダム大聖堂の「キリストの降架」で実際に100年近く前にはお金を払わなければ
見ることが出来なかったそうです。また当時村にあった風車には幼い少女が住んでいて作者はもしかするとその少女を「アロア」のモデルとしていたかもしれません。
そのフランダースの犬の作者ウィーダ(1839年1月1日イギリスで生まれ1908年1月25日イタリアにて窮乏の中、死を迎える)はペンネームで本名はルイズ
・ド・ラ・ラメーでアニメフランダースの犬の中では(23年前の)この本名が使われていていますがこの二つの名は同一人物であります。
彼女はラテン情緒溢れるイタリアに憧れ実際にイタリアに移住するのですが、初期の彼女の作品はロマンチシズム一辺倒であったそうで、奔放で空想に満ちあふれ過ぎ
た作風は当時の青年が読む書物としては幾分危ぶまれる声もあったようです。
しかし彼女も年を重ねるにつれリアリズムな作品を描くようになりこのフランダースの犬やニュールンベルグのストーブがついに誕生しました。これは私の想像なのです
がきっと彼女は彼女の持っているロマンチシズムを他人や冷たい現実がいつも彼女の心を傷つけていたのではないかと思ってます。そういった厳しい現実のなかボロボロ
になった理想をいつまでも傷んだ人形を大切にしている少女のように彼女の心の中で持ち続けていたのではないかと思えてならないのです。フランダースの犬の中でこれ
でもか!というぐらいの困難の中、最後には二人は死を迎えるのですがそこで彼女は何故二人を生かさなかったのか!そこには彼女が様々な不幸な道を歩む人々に対する
心の救済(癒し)にはどうしてもネロ達に命の終りを告げなくてはならない事があったのではないかと思います。
彼女を傷つけた現実は実はダイヤを磨く研磨石のように彼女のロマンチシズムを輝かしいダイヤに換え、時代や国境を越えた感動が今なお輝きを増して私達に語りかけて
くるのです。
K.Oshima 12/September/1997
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