「みすゞと雅輔」
「誰がために鐘は鳴る・・・故に問うなかれ、 誰が為に鐘は鳴るやと。其は汝が為に鳴るなればと」
最近金子みすゞさんの美しい詩を読むとこのイギリスの詩人ジョン・ダンの言葉を思い出します。というのも金子みすゞさんの優しく美しい詩は多くの人々の心を癒やすと同時に、実は自分自身がみすゞさんの詩に癒やされている事に気付かされるからです。
2009年に東京から青春18切符を使いのんびりと仙崎へ訪れた旅は今も良き思い出となっていますが仙崎で見た神社や海、そしてみすゞさんのお墓など。それら全てがみすゞさんの作品と重なり今も自分の中で仙崎という小さな街の姿となり私の脳裏に焼き付いています。
そんな美しい仙崎の小さな街で、実の弟であった上山正祐さんがみすゞさんと再会し血の繋がりをみすゞさんは隠しながら童話や童謡などをお互い語り合う雅輔さん(上山正祐)は一体どのような方だったのだろうか?みすゞさんの死後、どのような人生を歩んだのか?私だけで無く多くの方々が知りたかったことかもしれません。
昨年末、ふと再び金子みすゞさんの詩を読みたくなり再び色々と調べていると赤毛のアンの世界で著名な作家・松本侑子さんの新刊に「みすゞと雅輔」というタイトルがあり私は驚きと同時に早く読みたい衝動に駆られました。過去、赤毛のアンのセミナーに参加した際にに松本さんの作品に対する情熱は勿論の事、膨大な情報を調べ多くの時間を費やして完成する松本さんの作品に対する姿勢に感動した記憶が再び「みすゞと雅輔」の書籍にも期待せずにはいられませんでした。
数年前に発見された雅輔さんの日記はとても膨大な量でした。しかし松本さんは全て目を通し浮かび上がる本当の上山正祐さんの姿がこの本に込められていると本を読み感じました。みすゞさんが当時自殺された時の新聞記事などは裏取りも無く記事になっていたりと今日まで誤った情報がいくつもあることを気付かされます。
人は時に勝手に他人を悪人にしたり善人にしたりします。しかしこの「みすゞと雅輔」の魅力は歴史に埋もれた誤報を払い除け本当の姿を雅輔さんの日記を通じて表している点にあると思います。近い将来、”金子みすゞ”映画などが「みすゞと雅輔」を原作にした作品を見てみたいと読み終わった後に思いました。
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